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2016-07-30

「帝国ホテル厨房物語」by村上信夫 いい本に出会いました。

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帝国ホテルの総料理長を26年10ヶ月の長きに渡って努められた村上信夫氏の自伝を読みました。
その行動力に脱帽した一冊でした。

「帝国ホテル厨房物語」by村上信夫 いい本に出会いました。

1921年(大正10年)に生まれ、両親の急死、第二次世界大戦に出兵、そしてシベリア抑留。

様々な苦労、経験を積みながらも帝国ホテルの総料理長にまでなり、日本におけるフランス料理の世界を牽引してきた村上氏。

この本では、そんな村上氏の人生が落ち着いたトーンで書かれています。

 

私は1冊を通して、村上氏の実行力に圧倒されました。

 

帝国ホテルの調理場に配属され、最初に回された洗い場。

「鍋屋」と呼ばれて雑用をこなす中で、村上氏は2百個くらいある「あか鍋」と言われる重い銅鍋を必死に磨いてピカピカにしていったそうです。

 

誰からもそこまで求められていなかったのに。

 

そんな行動をやっぱり人は見ているんですね。

先輩から少しずつ声がかかるようになり、そこから村上氏の活躍の場が広がっていくことになりました。

 

戦争に行き、シベリアに抑留され、帰国後の苦労も乗り越えてきた村上氏。

きっと叫びたくなるような困難にもたくさん出会ったことと思いますが、この本には他人への批判や否定、苦労話の押し売りは書かれていません。

とにかくその場その場を乗り越えてきた、その実行力が浮かび上がってきます。

 

そんな村上氏の座右の銘は「果報は寝て待て」をもじった「チャンスは練って待て」だそう。

 

コック人生は幸運の連続だった。人にも恵まれた。しかし、それは準備し、努力した結果でもある。

 

「こんなにすごい人がいたんだなぁ」と圧倒されることに心地よさを感じる本です。

 

いい本に出会ったなぁ。

 

ちなみに、村上氏は1964年の東京オリンピックの選手村食堂の料理長を任された際に、大型冷凍設備などの導入や、口伝・秘伝が当たり前だったレシピの公開など、ホテルの料理界を大改革したそうです。

その結果、オリンピックでの毎食1万人の食事の提供を可能にし、その後のホテル・レストラン業界の近代化を先導することになったとのこと。

 

オリンピックレガシーはこんなところにもあったのですね。

 

すごい人がいたんだなぁ。

Unlock the Potential.

 

「帝国ホテル厨房物語―私の履歴書-」村上信夫著 日経ビジネス人文庫

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