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2016-04-25

ラグビー日本代表を変えた「心の鍛え方」by荒木香織 専門家がその知見をやさしく伝える良書です。

あのラグビーワールドカップ2015イングランド大会で、ラグビー日本代表が強豪南アフリカを破るなど大活躍したことは記憶に新しいですね。
その日本代表でメンタルコーチを努めた荒木香織さんが本を出版されました。
「ラグビー日本代表を変えた『心の鍛え方』」という本です。
日本代表選手が輪を作ると中に隠れて見えなくなってしまう、そんな荒木コーチですが、メンタルコーチのプロとして屈強な選手たちの心を支え、素晴らしいパフォーマンスを引き出しました。
そしてこの本は、専門家が専門知識のハードルをぐっと下げて、日本代表選手の心を動きを実例を交えて分かりやすく伝えています。

専門家がやさしく伝えることってとても難しいことです。
説明が足らないことでの読者の誤解を恐れてしまう。

荒木さんもきっとそんな葛藤があったのではないかと思いますが、この本は専門知識に裏付けされた確かな知見がとてもやさしく、分かりやすく書かれています。

それでは本の中身を紹介したいと思います。

「ラグビー日本代表を変えた『心の鍛え方』by荒木香織」は専門家がその知見をやさしく伝える良書です。

ーはじめにー

ここで荒木さんは、メンタルコーチの仕事と「スキル、道具を増やすこと」と書かれています。
不安や課題にぶつかったアスリートが、自ら扉を開いていけるように、スキル、道具を増やしてあげること。

よくアマチュアの試合を観戦していると(時にはプロの試合でも)、やみくもに「気合いを入れろ!」とか「プライドを持て!」、「集中しろ!」みたいなことを叫んでいる監督を見かけますが、それでは選手のパフォーマンスは上がりませんよね。
荒木さんの冷静さがうかがえるこの「スキル、道具を増やすこと」という言葉、ご本人には当たり前のことなのでしょうが、なかなかここにたどり着いていないスポーツ界の現状があるように思います。

ー第一章 最高のパフォーマンスを発揮するためのメンタルスキルー

ここでは五郎丸選手の、あのルーティンが紹介されています。
ゲン担ぎではないですよ、との注釈付きです。
「プレ・パフォーマンス・ルーティンは、様々な雑念を取り払い、ルーティンを正確に行うことだけに集中するためのもの」です。
私が面白いなと思ったのは、五郎丸選手が「キックに集中するために行う」のではなくて、「プレ・パフォーマンス・ルーティン」そのものに集中する、ということ。
結果を求めて行うものではないのですね。

また、この章では「平常心」よりも「緊張」がパフォーマンスを高めること、「興奮と不安とパフォーマンスの関係」にも触れています。
私はいつも「自然体が一番いい」と自分に言い聞かせているのですが、極度の集中状態である「フロー」になるには、適度な興奮と不安があったほうがいいのですね。
なるほど、です。

ー第二章 自分に自信をつけるためのメンタルスキルー

エディ監督から「日本代表というチームを作り上げていくこと」「個々のパフォーマンスを向上させること」を求められた荒木さんが進めたことが「勝ちの文化をつくる」ことだったそうです。

ワールドカップで過去に1勝しかしていないチームですから、これはなかなか大変だったとろうと思います。
この章では、日本代表選手のマインドセットを変えていくための取組みが紹介されています。
その中で私が面白いと思ったのが、「基準を『いま』に置く」ということ。
過去の成功体験を大切にするあまり、日々状態が変化していることについていこうとしなければ、いずれ成功から離れていってしまうということ。
基準を「いま」に置き、どん欲に吸収していくことが大切なんですね。

また、「Act like a winner」(勝者のようにふるまえ)という言葉も紹介されていました。
まずは行動から変えていくこと。
これもマインドセットを変えていくための有効な手段です。

ー第三章 目標を達成するためのメンタルスキルー

この章は「がんばりマスがいちばんタメ」という言葉から始まります。
スポーツ心理学では40年以上の研究の中で、「がんばりマス」目標がいちばんいけないとされているそうです。
あちゃちゃ…。
忙しくなって思考がにぶくなってくると、ついつい「とにかく頑張る」と思ってしまいがち。
でもそれでは遠回りの道をすすんで選んでいるようなものなのですね。

目標を立てる際には、
「結果に関する目標」
「パフォーマンスに関する目標」
「過程に関する目標」
が大切だそうです。

これ、なかなか普段意識していなかったことなので、今後の私自身の生活にも即取り入れていきたいと思います。
この3つを意識することでパフォーマンスが上がったら嬉しいな。

このほかにも、「期限のない目標は無意味」であるとか、「完全主義を捨てる」など、すぐにでも取り入れたいことがこの章でたくさん紹介されています。

ー第四章 困ったときのメンタルスキルー

プレッシャー、パニック、チョーキング…どれもできれば避けたいものです。
パフォーマンスを極度に落としてしまうチョーキング、これは何の前触れもなく襲ってくるものなので、もう「起こるものだ」と想定して準備することが必要だそうです。
考えうるシチュエーションを想定して、徹底的にシミュレーションしておくこと。
それでも起こる想定外のときに自分がどう行動すべきか把握しておくこと。
そして、「思考停止を身につける」ことも有効だそうです。

思考をストップさせること、トレーニングすればできるようになるそうですよ。

リアクト、リラックス、リセットの3Rを意識する。
自分の感情のクセを知り、あらかじめ決めておいた行動でリラックスさせて、前向きな言葉などを利用してリセットする。
これもぜひ日常に取り入れたいスキルです。

ー第五章 受け止め方を変えるメンタルスキルー

「プレッシャーというものは、見ることはできないし、触ることもできません。本人の受け止め方の問題なのです」
重圧になってしまうか、エネルギーになるか、自分の受け止め方次第なのであれば、ぜひエネルギーに変えていきたいもの。
わかっていてもなかなかできないものですけれどもね、意識することで変化が生まれるかもしれません。

「失敗をいい経験ととらえる」
あぁこれ、私もよく使っています。
仕事をミスしてしまって、沈んだ顔の部下に「失敗にする?経験にする?」と聞いています。
「せっかくだから経験にしない?」と声をかけてあげると、部下の表情がふっと穏やかになります。
これ、効果ありますので、みなさんもぜひ使ってみてください。

ーおわりにー

最後に荒木さんは、メンタルコーチの必要性と、そでがなかなか浸透しない現状について書かれています。
「スポーツ科学の価値が認められること」
ここに荒木さんは期待しているし、ご自身も今以上にアピールする決意を新たにされているそうです。

私もスポーツ選手、あるいはそこに関わっている人たちのメンタルを支えることができる、そんなコーチになりたい願望があります。
メンタルコーチの存在価値がもっと認められていってほしい。
いつか私がそこで活躍できる日が現実なものとなれるよう、私自身も学び続けたいと思います。

そして、日常生活にも取り入れられるたくさんの知見がやさしく詰まったこの1冊。
みなさんにもおすすめします。
長文にもかかわらずお読みいただき、ありがとうございました。

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